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身体は柔らかいほどいい?ピラティスで考える「可動性と安定性」〜動きやすい身体に必要なバランスとは〜

2026.10.23

身体は柔らかいほどいい?ピラティスで考える「可動性と安定性」〜動きやすい身体に必要なバランスとは〜

「身体が硬いから、もっと柔らかくしたい」
ピラティスを始める方からも、よく聞く言葉です。
前屈で床に手が届くようになりたい。
開脚をもっと広げたい。
肩まわりを柔らかくしたい。
柔軟性が高まることで、今まで動きにくかった場所が動きやすくなることはあります。
しかし、「身体が柔らかい=身体が動きやすい」とは限りません。
身体を自由に動かすためには、関節が動けることと同じくらい、その動きを自分で支えられることも大切です。
ピラティスでは、「可動性」と「安定性」の両方を使いながら身体を動かしていきます。

可動性とは「動けること」

可動性とは、関節が必要な範囲で動けることです。
腕を上げる。
身体を捻る。
股関節を曲げる。
足首を動かす。
こうした動作を行うためには、それぞれの関節に動ける範囲が必要です。
どこかの関節が動きにくくなると、その動きを別の場所で補うことがあります。
前回のコラムでお話しした「代償動作」にもつながります。
だからこそ、身体には動くための余白が必要です。
ただし、関節は大きく動けば動くほど良い、というわけではありません。

「動けること」と「支えられること」

例えば、股関節を大きく動かせたとしても、その動きを骨盤や体幹で支えられなければ、動かしたい股関節だけでなく、骨盤や腰まで必要以上に動くことがあります。
腕を大きく上げられても、肩甲骨や体幹とのつながりがなければ、首や肩に力が入りやすくなることもあります。
つまり、身体には
「動けること」と同時に
「その動きを支えられること」も必要です。
この支える働きが「安定性」です。
安定性があるからこそ、関節は必要な方向へ、より自由に動きやすくなります。

安定性は「身体を固めること」ではない

安定性という言葉から、「身体が動かないように固定すること」を想像する方もいるかもしれません。
しかし、ピラティスで考える安定性は、身体をガチガチに固めることではありません。
私たちは呼吸をしながら、手足を動かしながら、常に身体のバランスを変えています。
その変化の中でも、自分の身体を支え続けられること。
つまり、安定性とは「動かないこと」ではなく、
「動きの中で支え続けられること」
と考えることができます。
身体を必要以上に固めてしまえば、今度は本来動きたい場所まで動きにくくなってしまいます。
動きを止めるための力ではなく、動きを支えるための力。
その違いが、身体の動きやすさにつながります。

「柔らかくする」だけでは変わらないこともある

身体が硬いと感じると、まずストレッチをしたくなるかもしれません。
もちろん、ストレッチによって動きやすくなることもあります。
しかし、身体が動きを制限している理由は、必ずしも筋肉の硬さだけとは限りません。
その場所を十分に支えられないために、身体が動きを小さくすることで安定しようとしている場合もあります。
そんなときは、ただ可動域を広げようとするよりも、今ある範囲を自分で支えながら動かせるようにしていくことが大切です。
「どこまで動くか」だけではなく
「その範囲をどのように使えているか」にも目を向けてみます。
自分で支え、コントロールできる範囲が少しずつ広がることで、身体は安心して動けるようになります。

ピラティスでは「動く」と「支える」を同時に練習する

ピラティスのエクササイズでは、身体の一部分を支えながら、別の場所を動かす場面がたくさんあります。
骨盤を支えながら脚を動かす。
手や足で身体を支えながら背骨を動かす。
体幹を保ちながら腕を動かす。
しかし、支える場所がずっと固定されているわけではありません。
エクササイズや姿勢が変われば、動く場所と支える場所の役割も変わります。
あるときは股関節が大きく動き、あるときは股関節が身体を支える。
あるときは背骨がしなやかに動き、あるときは背骨や体幹が手足の動きを支える。
その場面に合わせて「動く」と「支える」の役割を変えられることが、身体の動きやすさにつながります。

必要なのは「柔らかさ」だけではなく、使える身体

身体を柔らかくすること自体が、ゴールではありません。
せっかく増えた可動域も、自分の身体で支えたりコントロールしたりできなければ、日常の動きにはつながりにくくなります。
大切なのは
動けること。
支えられること。
そして、その両方を必要に応じて使い分けられること。
ピラティスでは、身体をただ柔らかくするのではなく、自分が持っている可動域を、実際の動きの中で使えるようにしていきます。
「もっと柔らかくならなきゃ」
と思ったときには
「この動きを、自分で支えながら使えているかな?」
という視点も加えてみてください。
動くための余白と、その動きを支える力。
その両方があることで、身体は無理なく、より自由に動けるようになります。