ピラティスに「完璧」はあるのか?
2025.06.20

正確性(Precision)
ピラティスには、創始者ジョセフ・ピラティスによって提唱された6つの基本原則があります。
その中でも「正確性(Precision)」は、他の原則と相互に関係しながら、動きの質を高めるための重要な要素とされています。
この“正確性”が強調される背景には、関節や筋肉に対する無理のない動きを追求する姿勢があり、機能的かつ安全な動作を支える基盤として機能しています。
「正確性」=「完璧なフォーム」ではない
ただし、この「正確性」が誤って「完璧なフォーム」や「理想的な形」に置き換えられてしまうことがあります。
たとえば、背骨のアーティキュレーション(椎骨を一つずつ動かすこと)や中立位での骨盤配置などにおいて、視覚的に整った姿勢を“正解”と見なすあまり、本来の目的や個々の身体の違いが見落とされてしまう場合があるのです。
身体構造には個人差があり、可動域や筋出力、神経系の働きは日々変動します。
したがって、ある動作が「教科書的に正しい」かどうかよりも、「その人の今日の身体にとって適切かどうか」が重要なのです。
ピラティスの本質は、単に正しい形を再現することではない
ピラティスの本質は、単に正しい形を再現することではなく、「身体と意識をどれだけ結びつけて動けるか」というプロセスの中にあります。
完璧を静的な到達点として捉えるのではなく、変化する身体と丁寧に向き合い続けること。
たとえ小さな動きでも、その中に「コントロール」や「集中」、「呼吸」があれば、そこには大きな意味があり
そこに、ピラティスが目指す“完璧”の姿があるのかもしれません。
それは外から見て整っているかではなく、内側から見て誠実であるかを問う姿勢だといえるでしょう。