ピラティスで「動く関節」を増やすと、身体が楽になる理由〜一か所に負担を集めない身体の使い方〜
2026.09.11
「身体が硬いから、もっと柔らかくしたい」
そう思って、ストレッチを続けている方も多いのではないでしょうか。
もちろん、身体を動かしやすくするために柔軟性は大切です。
けれど、身体全体を楽に動かすために必要なのは、硬いと感じる一か所を柔らかくすることだけではありません。
ピラティスで大切にしているのは、身体にあるたくさんの関節が、それぞれ少しずつ動きに参加すること。
一つの関節だけを大きく動かすのではなく、「動きに参加できる関節を増やす」。
それだけでも負担が分散され、いつもの動きが少し軽く感じられることがあります。
身体は、たくさんの関節で動いている
私たちの身体には、たくさんの関節があります。
背骨も一本の長い骨ではなく、いくつもの椎骨が連なってできています。
歩く、しゃがむ、振り返る、腕を上げる。こうした日常の動作も、一つの関節だけで行っているわけではありません。
例えば、床にある物を取るとき。
股関節、膝、足首、背骨など、さまざまな関節が少しずつ動くことで、身体全体を使ってしゃがむことができます。
ところが、動きに参加できる関節が少なくなると、その分、別の場所が大きく動かなければなりません。
身体には、「物を取る」「後ろを振り返る」といった目的を果たすために、動きやすい場所を使って補う力があるからです。
この補いは、日常を過ごすために必要な身体の工夫でもあります。ただ、同じ場所ばかりが頑張り続けると、そこに負担が集まりやすくなります。
一か所だけで頑張ると、負担が集まりやすい
例えば、身体を前に倒す動き。
股関節や背骨が少しずつ動けば、身体全体で動きを分け合えます。
しかし、股関節がうまく動きに参加できなければ、その分、腰など別の場所が大きく動いて補うことがあります。
身体を捻る動きも同じです。
胸まわりの背骨が動きにくければ、腰や首が必要以上に動き、頑張り続けることがあります。
だからこそ、身体を見るときは、
「どこが硬いのだろう?」だけでなく
「どこが、この動きに参加できていないのだろう?」
という視点も大切です。
「動く関節を増やす」とは?
動く関節を増やすといっても、すべての関節を大きく動かす必要はありません。
大切なのは、それぞれが必要な分だけ動きに参加できることです。
例えば、背骨を丸めるとき。
一部分だけを大きく丸めるのではなく、背骨全体が少しずつ形を変えていく。
しゃがむときには、膝だけを深く曲げるのではなく、足首や股関節も一緒に動いていく。
一つひとつの動きは小さくても、たくさんの関節が協力すれば、身体全体では大きく、なめらかな動きになります。
ピラティスは「どこが動いているか」に気づく時間
ピラティスでは、ただ身体を大きく動かすのではなく、身体の中で何が起きているのかを感じながら動いていきます。
背骨を丸めたとき、いつも同じところばかり曲がっていないかな。
脚を動かしたとき、股関節から動けているかな。
身体を捻ったとき、腰や首だけで頑張っていないかな。
そんなふうに、自分の動き方に目を向けます。
今まであまり動きに参加していなかった場所に気づき、そこにも少しずつ役割を渡していく。
すると、同じエクササイズでも「さっきより軽い」「呼吸がしやすい」と感じることがあります。
動ける場所が増えると、身体の選択肢が増える
身体を動かす方法は、一つではありません。
動ける関節が増えることは、身体が選べる動き方が増えることでもあります。
いつも腰だけで動いていた身体が、股関節や胸まわりにも動きを分けられるようになる。
いつも膝だけで受け止めていた負担を、足首や股関節にも渡せるようになる。
選択肢が増えると、その日の体調や動作に合わせて、身体全体で調整しやすくなります。
それは運動するときだけでなく、歩く、座る、立ち上がるといった日常の動きにもつながっています。
動きを大きくする前に、参加できる場所を増やしてみる
身体を楽に動かすために必要なのは、一つの場所をさらに頑張らせることだけではありません。
今まで動きに参加していなかった場所にも、少しずつ役割を分けていくこと。
一つの関節に集まっていた負担を、身体全体で分け合っていくこと。
ピラティスをするときは
「もっと大きく動こう」だけではなく
「今、身体のどこがこの動きに参加しているだろう?」
と感じてみてください。
身体が楽になるヒントは、一つの場所をさらに頑張らせることではなく、今まで動きに参加していなかった場所にも、少しずつ役割を渡していくこと。
動ける場所が増えるほど、身体の中には新しい選択肢が生まれます。
その小さな選択肢の積み重ねが、より軽く、自由に動ける身体につながっていきます。