身体の関節を適切に使えていますか?―「この動きは悪い」ではなく、すべての動きを使える身体へ―
2026.10.02
「膝が内側に入るから、外に向けたほうがいい」
「腰が反りやすいから、反らないようにしたほうがいい」
「肩が上がるから、下げたほうがいい」
身体について考えるとき、私たちはつい、
「この動きは良くないから、反対の動きをしたほうがいい」
と考えてしまいがちです。
もちろん、身体の状態によって調整が必要な場合はあります。
でも、本来、身体に「必要のない動き」はそれほど多くありません。
大切なのは、
その関節が必要なときに、必要な方向へ動けること。
そして、必要なときにはしっかり支えられることです。
関節は「動くため」だけにあるのではない
私たちの身体には、たくさんの関節があります。
関節が動くことで身体はさまざまな動作を行うことができますが、同時に、関節は身体を支える役割も担っています。
例えば、歩くという一つの動作だけでも、
足首が動く
↓
膝が動く
↓
股関節が動く
↓
骨盤や背骨が連動する
というように、身体のさまざまな関節が協調して働いています。
どこか一つだけを「正しくしよう」としても、身体全体の動きは成り立ちません。
現代人は「動きが偏っている」ことがある
現代の生活では、同じ姿勢や同じ動作を繰り返すことが増えています。
デスクワークで長時間座る。
スマートフォンを見る。
いつも同じ側で荷物を持つ。
こうした生活によって、身体の使い方に偏りが生まれることがあります。
すると、
「この筋肉が弱いから鍛えよう」
「ここが硬いから伸ばそう」
と、一部分に注目しやすくなります。
しかし、本当に必要なのは、単純に「強くする」「柔らかくする」ことだけなのでしょうか。
使えていない動きがあるなら、その動きを取り戻すこと。
それも身体を整える大切な方法です。
「反る=悪い」「曲げる=悪い」ではない
例えば、腰を反る動き。
「腰痛になるから、腰は反らないほうがいい」
と考えてしまうことがあります。
でも、腰や背骨には本来、曲げる動きも、伸ばす動きも必要です。
問題なのは「反ること」そのものではなく、
必要以上に反っていることや、他の関節が動かないことで腰だけが頑張っていること。
同じように、身体を丸めることも、ねじることも、横に倒すことも、身体にとって必要な動きです。
「その動きが悪い」のではなく、
どの関節が、どのくらい、どのタイミングで動いているのか。
そこを見ることが大切なのです。
ピラティスでは動きの「選択肢を増やす」ことが大切
ピラティスで目指したいのは、身体を一つの形に固定することではありません。
前にも動ける。
後ろにも動ける。
横にも動ける。
ねじることもできる。
そして、必要なときには動かずに支えることもできる。
つまり、
身体が選べる動きの幅を増やしていくこと。
それによって、特定の関節や筋肉だけに負担が集中することを防ぎ、身体全体で動きを分担しやすくなります。
「決まった正しい動き」よりも「適切な動き」
身体には、一人ひとり違った骨格や柔軟性、筋力があります。
そのため、誰にとっても同じ形が「正解」とは限りません。
大切なのは、
今の自分の身体にとって、必要な動きが必要なだけできること。
そして、その動きを自分でコントロールできることです。
ピラティスでは、エクササイズを通してさまざまな関節の動きを経験しながら、
「ここは動く」
「ここは支える」
「今はこの動きが必要」
という身体の感覚を学んでいきます。
まとめ|動きをなくすのではなく、動ける身体へ
身体を整えようとすると、
「この動きはしないほうがいい」
「ここは固めたほうがいい」
と考えがちです。
でも、身体に必要なのは、
動きを制限することだけではありません。
必要な方向へ動けること。
必要なときには支えられること。
そして、その動きを自分でコントロールできること。
それが、機能的に動ける身体につながります。
ピラティスは、身体を一つの「正しい形」に当てはめるのではなく、
身体が本来持っている動きの選択肢を増やしていくための学び。
「良い動き・悪い動き」と決めつけるのではなく、
今の自分の身体がどんな動きを必要としているのか。
そこに気づくことから、身体との付き合い方は変わっていきます。